アメリカのパワフルなサッカー事情 ---- 澤穂希(さわほまれ)

澤穂希(さわほまれ)

1978年9月6日生まれ、22歳、元日テレ・べレーザ所属、第2回W杯(当時最年少)、第3回W杯、アトランタオリンピックに出場、第3回W杯前に行われたアメリカ代表対世界オールスター選抜の試合には、日本人でただ一人MFとして出場している。

ワールド・カップを境に人気急上昇の女子サッカー。 

日本でも、メディアにもっと女子サッカーを扱ってほしい。

アメリカのパワフルなサッカー事情

学生とコーチ、掛け持ちの毎日

 私のアメリカの生活は、午前中は英語学校に通い、午後からサッカー、チームの練習います。こちらもやはり選手はプロではなく仕事との掛け持ちで、仕事を優先的にスケジュールを組んでいます。ですから、日本のように毎日練習があるわけではありません。私の場合、練習のない日はアシスタント・コーチとして働いています。日曜日には、10歳の女の子6人にプライベート・レッスンでサッカーを教えています。まだまだ英語が流暢に話せないので、いろいろと伝えたいことはあるのですが、なかなかうまくいきません。で今は、何事にも挑戦したい、という思いが大きく、私なりに一生懸命がんばっているところです。

 現在アメリカではリーグ戦が始まり、週末はほとんどが試合です。試合といってもアメリカは広いので、場合によっては飛行機での移動になり、ちょっとした旅行ですね。

アメリカで誕生する女子プロリーグ

 アメリカでは、来年からプロリーグが始まります。WUSA(Woman's United Soccer Association)が今、リーグに向けて動いていて、私も4月にWUSAから契約書をいただき、サインしたばかりです。チームはニュ―ヨーク、ワシントン、ボストン、オーランド、フィラデルフィア、アトランタ、サンフランシスコ、サンディエゴの計8チームです。L・リーグのように外国人選手が1チーム4人までの登録、そしてアメリカ代表+代表候捕の約32人をドラフトで8チーム均等に分けるそうです。ですから、だれがどのチームでプレーするのか、まったくわかっていません。

 日本と完全に違うのほ、お金のかけ方です。このプロリーグに対してもチームによってスポンサーが違うのですが、個人で何億というお金を払っているスボンサーもいるようです。しかもこのリーグは、観客が多ければボーナスという形で選手に給料+ボーナスが支給されると聞いています。

人気が高いアメリカ女子サッカー

 今、アメリカ女子サッカーは異常な人気です。ワ一ルドカップ以降は特に人気が高くなり、小さい子たちは代表のミア・ハムなどにあこがれ、代表になるのを夢見てサッカーをはじめる子もたくさんいます。観客動員教も多く、特に代表の試合のサッカー場はいつも満員に近い状態。昨年のワールドカップ決勝戦の観客動員数は93,000人、チケットも10万円近くしていたと聞いてびっくり。これからして、アメリカの女子サッカー熱が高いことがわかりますね。
 ワールドカップ優勝後の女子サッカーは、マスコミに大々的に取り上げられました。代表の試合はもちろん、大学などの試合もライブ中継されていて、日本もこのくらいマスコミが取り上げてくれれば、と思ったりもしています。

昔馴染みの多いコロラドのチーム

 私の所属するチームはコロラド州にあり、州内では結構レベルの高いチームです。サツカークラブですが、U9〜U18までのチーム(各A、B、Cの3段階に分けられている)があり、メンバーも多く、かなり大きなクラブです。私はこれ以外の大学生や大人のチームに所属しています。所属してうれしかったのは、元ベレーザのナタリー・イートン、ディナ・スミス、元フジタのアリソン・ギブソン、元旭国際のシャーリー・コーゲル、日本人の能代谷恵さんなど、昔馴染みのメンバーが多いこと。MFとしてプレーしている私の周りに、同じMFのシャーリー、FWのナタリーがいて安心してプレーしています。

スピードの違いに圧倒された!

 アメリカ人のサッカーにはすごくスピードがあります。ワンタッチで相手を抜けるスピードをもっているし、相手のデイフェンスを抜いたつもりでもしつこく戻ってくるし、足も速いからすぐに追いつかれてしまう。体も大きいから、体当たりしてもなかなか倒れません。もちろん攻撃もパワフルです。外からのクロスボールをバンバン上げてきて、中で競う形が多いです。あんなでかい体に勝て、というほうが無理ですよ。また、観客のリアクションもすごい。自分がいっしょにプレーしている感じで、ひとつひとつのプレーにリアクションがあり、試合中もずっとうるさいです。しかし、この熱狂さがアメリカ女子サッカーのバワーなのだろうと思います。
 最後に、Lリーグのみなさんに一言。私もアメリカでがんばっていますので、皆さんもがんばってくださいね。


この記事は、日本女子サッカーリーグ(L・リーグ)公式機関紙 インフォメーションネットワークVol.80 より転載させて戴きました。関係者の方々のご協力に感謝いたします。


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